FAQ(よくある質問)
よくある質問
Q.養育費と再婚の関係は?
養育費の変更問題のなかで、父母それぞれが再婚したり、養子縁組が発生した場合の相談が多いです。
そこで、養育費と再婚の関係を整理しておきます。
この判例をチェックすると良い人は、次のような人。
- ・養育費の減額請求をしたい
- ・離婚後に再婚、出産、連れ子養子縁組が発生した
ステップファミリーの養育費
連れ子と養育費等の問題も多くあります。
離婚後の養育費支払が、再婚や養子縁組によってどう変わるかという問題です。
統計上、2020年には全体の婚姻件数のうち、再婚の割合が約4分の1とされています。
離婚後の子連れ再婚も相当の割合を占めていることが推認されます。
このような家族を、ステップファミリーと呼びます。
ステップファミリーと養育費に関する相談も多いので整理しておきます。
養育費は事情変更で金額変更
未成年の子がいる夫婦が離婚した場合、監護者にならなかった父母は、養育費の支払い義務があります。
多くの離婚事件では、母が親権者兼監護者となり、父が養育費を支払っています。
このような事案で、父や母が再婚した場合、父の養育費はどうなるのかというのが問題になります。
養育費は、一度決めても、事情変更を理由に金額変更請求ができます。再婚やこれに関連する家族構成の変化は、この事情としてよく主張されるものです。
親権者が再婚・養子縁組
まず、親権者となった母親が再婚し、再婚相手の男性が子と養子縁組をすることがあります。
連れ子養子縁組と呼ばれるものです。
この場合、子にとっては、父親が2人になります。
親権者の再婚相手である養親と実親(父)の扶養義務の順位はどうなるのでしょうか。
裁判例では、未成年子との養子縁組には子の養育を、扶養をも含めて全面的に引受けるという合意が含まれているとし、養親が資力がない等の理由によって充分に扶養の義務を履行できない場合を除いては、実親の扶養義務は順位において養親のそれに後れるものと解すべきであるとしています。
まずは、養親が扶養義務を負い、資力不足などの場合に、次順位として実親が扶養義務を負うということです。
そのため、原則として、養子縁組により、父の養育費支払い義務はなくなります。
資力不足の事例では、父が高収入で、母及び再婚相手の世帯の基礎収入が最低生活費にも足りないような事案では、養育費は完全には免除されず、不足分を補う養育費を支払う義務を負うとして、減額されるものの養育費の支払い義務が残るとされた裁判例もあります。
養育費支払者の再婚
次に、養育費を払っている側が再婚した場合も問題になります。
養育費を払っていた父が再婚し、扶養家族が増えた場合です。
養育費制度は、養育費支払い者の収入を分配するものです。分配すべき扶養家族が増えたのであれば、もともと払っていた養育費の金額も下がるのではないかという問題です。
よく問題になるのは、父が再婚、再婚相手との間で子が生まれた場合です。これが元の養育費を変更するべき事情変更になるか争われています。
裁判例では、新たな扶養家族が生じたことは事情変更になるとし、養育費の減額請求を認めています。
養育費支払者の連れ子養子
次に、再婚相手との間で子が生まれたのではなく、連れ子を養子縁組することもあります。
この場合、子の出産と同じように事情変更を認めてよいかが問題になります。
養子縁組があれば、第一順位の扶養義務を養親が負います。そのため、扶養義務との関係では、子の出産と同じといえます。
出産とは違い、養子縁組はするかしないか自分で決められる、コントロールできるという側面もないわけではありません。しかし、裁判例では、連れ子の養子縁組の場合にも、事情変更による養育費の減額を認めているものがあります。
再婚相手が養子縁組しない場合
親権者の再婚相手が、子と養子縁組をしないケースもあります。
この場合、養子縁組がないので、法的には親子関係になっていません。再婚により姻族関係にはなったものの、親子関係にはなっていないのです。
そのため、再婚相手は子に対して扶養義務を負わないことになります。
ただ、夫婦間での婚姻費用の負担は当然にあります。この婚姻費用に、妻の連れ子の養育費が含まれるとの考えもあります。子の養育費用の一部負担を認めた裁判例もあります。
この再婚だけを理由としては、養育費は減額できないとされるでしょう。
養育費の支払と面会交流
子連れ再婚などにより、養育費の金額が減額など変わった際、面会交流についても変更を求められることがあります。
本来、養育費と面会交流とは別問題です。
しかし、親権者が再婚、養子縁組などあれば、離婚した実父には会わせたくないと言い出す人も多いです。再婚相手もそのように主張することがあります。
このような気持ちが、面会交流に事実上の影響を及ぼします。
面会交流のためには、親の間で、日程調整が必要です。
このような連絡が取りにくくなれば、面会交流が実現しにくくなります。
その際、調停等を申し立てる手続きはできますが、時間はかかります。
養育費の減額請求、免除請求が、子どもへの責任を放棄だと主張されてしまうケースもあります。そのような主張に対しては、別問題だとしてしっかり反論しておくべきでしょう。
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