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FAQ(よくある質問)

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よくある質問

 

Q.高所得者の養育費減額計算は?

高額所得者の養育費減額が問題になった裁判例があります。

そのなかで、具体的な計算方法が提示されていますので、紹介します。

福岡高等裁判所平成26年6月30日決定です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.30

事案の概要

父母は、平成20年の調停において、両者の子2名の親権者を母と定め離婚。


そして、同調停において、「父は、母に対し、それぞれ満20歳に達する日の属する月まで、未成年者1人当たり毎月20万円を支払う」との合意がされました。

母は、平成21年に再婚。その後も、父は、一人あたり月額20万円の養育費を支払いました。

父も、上記調停成立から2年5ヶ月後に再婚、連れ子2名と養子縁組をし、再婚相手との間に実子が生まれました。

父は、医師であり、医療法人の代表者として働いており、平成24年の総収入は、6171万6840円(給与所得+雑所得)という高所得。

父から母に対し、養育費減額の申立がされました。

 

家庭裁判所の判断

家庭裁判所は、養育費減額の申立てを却下しました。

家庭裁判所では、当事者らの収入から算定される抗告人が負担すべき養育費の標準的な金額は15万2603円となると、民法880条が定める「事情に変更を生じたとき」に該当するとしながら、抗告人が調停成立後約1年2ヶ月で再婚及び養子縁組して自らそのような状況を作り出している等から減額することは相当ではない、として申立を却下しました。

この事実認定については、抗告人が再婚及び養子縁組したのは調停成立から2年5ヶ月後であり、認定自体が誤りでした。

それ以外にも、養育費算定の基礎となる事実、抗告人の負担すべき養育費の標準的な金額、本件における減額の相当性について誤りがあるとして、父が不服申立て。

 

父が抗告人、母が相手方となります。

 

父の基礎収入額の認定


父が再婚した妻は、未成年者らを扶養する義務を負わず、その年収は330万円でした。

抗告人や相手方に比較すれば著しく低いことを考えると、未成年者らの養育費算定にあたっては、子らの養育費は専ら抗告人が負担しているものとして、抗告人の基礎収入の算定にあたっては妻の収入を合算しない一方、妻を抗告人の扶養者ではないとみなすのが相当という前提の確認をしました。

抗告人の年収額は社会保険料控除前の金額であり、市県民税(所得・課税)証明書の記載等からも、給与所得者として基礎収入額を算定すべきであるが、年収2000万円までの基礎収入割合は概ね34ないし42パーセントとされているところ、年収2000万円を超える高額所得者の場合は、基礎収入割合はさらに低くなると考えられるから、抗告人の職業及び年収額等を考慮して、抗告人の基礎収入割合を27パーセントとするのが相当であり、その基礎収入額は1666万4000円となるとしました。


この点について、抗告人は、基礎収入割合を25.6パーセントとすべきと主張するが、基礎収入割合は収入金額のみから機械的に算出されるものではなく、収入の増加に応じて常に一律の割合で減少していくものでもないから、抗告人の上記主張は採用することができないとして排斥。

 

相手方である母の基礎収入額

相手方は、再婚相手の夫と離婚したというのであり、もともと夫は未成年者らと養子縁組をしていないから、法律上扶養義務を負わず、相手方の基礎収入額の算定にあたって夫の収入を考慮すべきではないと確認。


相手方の年収額は社会保険料控除前の金額で、市県民税(所得・課税)証明書の記載等からも、給与所得者として扱われるべきところ、その職業及び年収額等を考慮すると、基礎収入割合を35パーセントとするのが相当であり、基礎収入額は349万8000円となると認定しました。


養育費の算定

未成年者らが抗告人と同居していたと仮定した場合の未成年者らの生活費に充てられる金額を算定すると、

抗告人の生活指数を100、子らの生活指数をそれぞれ55として、年間488万8000円となるとしました

(計算式:1666万4000円×(55+55)÷(100+55+55+55+55+55))。

この金額を、抗告人と相手方の基礎収入額で按分すると、抗告人が未成年者らのために負担すべき費用は年間404万円

(計算式:488万8000円×1666万4000円÷(1666万4000円+349万8000円))、1か月では33万7000円(一人当たり16万9000円)となるとの計算です。

 

事情変更に関する判断

養育費の変更には、事情の変更が必要であるところ、この検討等がされます。

抗告人及び相手方は、調停離婚後、それぞれ再婚し(ただし、相手方はその後離婚している。)、抗告人は、連れ子と養子縁組をし、その後、新たに実子が出生しているが、これらはいずれも調停時には想定されていなかった事情であり、これらによってそれぞれの生活状況は大きく変化し、抗告人が負担すべき未成年者の養育費の算定結果も相当程度変わっているというのであるから、民法880条にいう「事情に変更を生じたとき」に該当するというべきであるとして肯定しました。


そして、上記の算定結果のほか、抗告人及び妻、相手方の職業及び収入額、生活状況、それぞれの未成熟の子らの生育状況等を総合考慮すると、未成年者らの一人あたりの養育費月額20万円を月額17万円に変更するのが相当であるとしました。


この点について、相手方は、未成年者らが医師や看護師等を目指して大学に進学する可能性が高く、満20歳に達した後も学費が必要であるなどと主張するが、現段階では未成年者らの進路は未確定であり、この点についての相手方の主張は理由がないとして排斥しています。

 

 

 

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