FAQ(よくある質問)
よくある質問
Q.相手と子の面会交流を認める?
離婚後は、夫婦で顔も見たくない、子にも会わせたくないという主張も多いです。
親権者の指定紛争で、このような将来の面会交流について、考えを聞かれることもあります。
しかし、会わせたくないというスタンスは、かなりリスクがあります。
最高裁平成29年7月12日第二小法廷決定
親権者の指定の際に、面会交流についての考えが重視された判断を紹介します。
事案の概要
夫婦の関係が悪化。
平成22年5月、妻が子(当時2歳4か月)を連れて実家に帰る。
別居へ。
その後、父子の面会交流があったものの、約束に反して子へのTV取材をさせたことで、面会は中断へ。
双方が監護者指定を申し立て、妻が監護者と指定。
妻から離婚請求。
夫は離婚原因を争う。ただし、予備的に、離婚が認められた場合の親権者は自分とし、子の引渡しと面会交流の処分をを求めました。
原審までの判断
一審は離婚請求は認容。
夫を親権者に指定、子の引渡しを認めました。
親権者指定については、妻が夫に無断で子を連れ出していることや、その後の面会頻度などを理由にしています。
妻が控訴。
東京高等裁判所は、離婚請求はそのまま認め、親権者は妻と指定しました。
夫が上告受理申立てをしましたが不受理決定が出されました。
親権者紛争では、一審で父が指定されるものの、高裁で覆されてしまうということも少なくありません。
一審判決でぬか喜びという事案です。
今回も、そのような結論でしたので、父親側としては覆された理由をチェックしておくべきでしょう。
親権者指定の基準は?
これまでの子の監護養育状況、子の現状や父母との関係、父母それぞれの監護能力や監護環境、監護に対する意欲、子
の意思・・・その他の子の健全な成育に関する事情を総合的に考慮するという基準を出しています。
過去の裁判例でも重視された、それまでの養育状況や監護できるような能力、子の意思など様々な事情を考慮しましょうという基準です。
面会交流に対する態度
その諸要素の中で、面会交流に対する態度について、個別に触れています。
父母それぞれにつき、離婚後親権者となった場合に、どの程度の頻度でどのような態様により相手方に子との面会交流を認める意向を有しているかは、親権者を定めるに当たり総合的に考慮すべき事情の一つであるが、父母の離婚後の非監護親との面会交流だけで子の健全な成育や子の利益が確保されるわけではないから、父母の面会交流についての意向だけで親権者を定めることは相当でなく、また、父母の面会交流についての意向が他の諸事情より重要性が高いともいえない
一審がこれを重視して親権者指定の判断をしたので、それについて考慮したものでしょう。
最近の親権者紛争では、家庭裁判所だと、自分が親権者になった場合に、子と相手方との面会交流をどのようにすると考えているか、よく聞かれます。
その態度も判断要素の一つになります。
気持ちとして、相手方との関係を断たせたいという人もいるのですが、家庭裁判所では当然ながら、親子間の関係は続けた方が良いというスタンスのことがほとんどです。
面会交流提案についての判断
父の家と母の家とは片道2時間半程度離れた距離関係にありました。
小学校3年生の子が年間100日の面会交流のたびに、2人の家を往復するとすれば、身体への負担のほか、学校行事への参加、学校や近所の友達との交流等にも支障が生ずるおそれがあり、必ずしも子の健全な成育にとって利益になるとは限らないとしています。
妻が許容する月1回程度の面会交流については、当初はこの程度の頻度で面会交流を再開することが子の健全な成育にとって不十分であり子の利益を害すると認めるに足りる証拠はないとしました。
本件では、父と母とで監護の能力や体制に大きな差はなかったようです。
そのため、一審では双方が相手の面会交流をどの程度寛容するかという点を重視したものです。
これに対し、高裁判決は、このような相手の面会交流の許容度は、一要素にすぎないとし、監護の継続性を重視した判断といえます。
一審では、子の環境が変わるとしても、新たな環境は今と比べて劣悪な環境となるわけではないとしており、監護の継続性を重視していませんでした。
裁判所では、子の環境を変化させることは慎重になる判断が多いです。ただ、最近では、子の連れ去りなど面会交流時に子を奪取して作った監護状況について、継続性を重視すると連れ去りを推奨する結論となってしまうこともあり、このような場合には、例外的な判断がされることも多いです。
親権者の指定と相手方との面会交流の許容
裁判所の考えとしては、子は両親双方との関係を続けるのが良いというものがあります。
家庭裁判所の審判例では、面会交流の不履行を主たる理由として親権者変更を認めたものもあります。
したがって、親権変更などの事態を避けるためには、なるべく交流を認めた方が良いことになります。
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