FAQ(よくある質問)
よくある質問
Q.養育費の金額変更はできる?
一度決めた養育費の金額を変えたい、という養育費の金額変更についての話です。
養育費については、一旦決めた後に変更することもできるとは言われます。
どのような場合に変更が認められるのか、家庭の法と裁判22号で東京高裁の裁判例の分析がされていますので、紹介します。
東京高裁の裁判例
東京高裁は、関東圏の家庭裁判所の審判で養育費の判断がされた後、不服申し立てをすれば、判断する裁判所になります。
東京高裁の判断が最終的にどうなるのかは、関東圏で養育費の金額変更をしたいという人は、把握しておくべきで話となります。
養育費に必要な事情変更は?
養育費の金額変更については、合意時に予測しえなかった事情変更が必要です。
たとえば、収入の変動というのがよくある理由です。
転職や、職場の経営状況悪化等により収入が下がったというケースです。
このような場合、収入が、どれぐらいの割合で下がったのか変動の幅を見られることが多いです。
多少の減額なら予測しえたとして、養育費減額を認めないケースもあります。
大幅な減収は予測しえなかっただろうとして、養育費減額を認めることが多いです。
また、意図的に収入を減少させたというようなケースで事情変更は認められないとして否定されることもありますので注意してください。
家族状況が変わったら?
収入変動以外の事情として、よくあるのが家族の状況が変わったという理由です。
養育費の支払義務者が、再婚をしたり、養子縁組、認知、子ができた等の理由で、事情の変更があるので養育費を下げてほしい請求することも多いです。
当初の養育費合意から、どれぐらいの期間から経っているかによっても変わってきますが、特集の中で紹介されている平成30年の裁判例では、再婚や養子縁組、認知は予見し得たんじゃないかとして、事情変更を否定する一方で、子が生まれたという点は事情変更を肯定しています。
機械的に判断されるわけではないでしょうが、子の出生は事情変更と認められやすいとは覚えておきましょう。
次に、養育費の権利者が、再婚、子と再婚相手が養子縁組をしたケースでは、一次的な扶養義務は養親が負うので、養親に十分な収入がある限り、原則として実親は養育費を支払わなくて良さそうです。
しかし、従前の養育費の決め方等の経緯を重視して、養育費を減額はするものの、支払義務を残した裁判例も紹介されています。
最初の合意の相場観
この特集の中で押さえておくべきポイントは、従前の合意の相場観が重視される点です。
算定表等から算出される、いわゆる相場の養育費に、従前の合意で増額していたかどうかです。
裁判例の中には、従前、相場より3万円加算して合意していたという理由で、事情変更により養育費を減額するものの、事情変更後の相場に3万円加算した金額を認定するものがあります。
金額の加算以外に、相場の10%増しとか、割合で増額していた場合にも、同様に、事情変更後の相場の10%増しというように金額を認定しているものがあります。
このような東京高裁の裁判例から考えると、相場よりも高い養育費の合意をする場合には、事情変更による減額でも、その増加分の合意が将来も反映される可能性があるということを意識しておく必要があるでしょう。
仮に合意するにしても、特殊事情であることを盛り込むなどの必要があるかもしれません。
子供のために相場より高く払いたい、という気持ちに、事情変更後も拘束される現実が裁判例の分析から見えるのです。
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