離婚・不貞のケース紹介
同居なしの離婚調停事例
同居なしの離婚調停事例
神奈川県にお住まいの妻からの相談でした。
交渉を経て、横浜家庭裁判所に離婚調停の申立をして解決した事例です。
離婚調停の申立内容
離婚調停の申立内容としては、
申立人と相手方は離婚する。
当事者間の長男の親権者を申立人と定める。
相手方は、子の養育費として、毎月金3万円を支払う。
相手方は、申立人に財産分与として、相当額を支払う。
というものでした。
申立人が妻、相手方が夫です。
離婚に至る経緯
申立人と相手方は、婚姻し、約半年後、2人の間には、長男が生まれていました。
妊娠後に結婚したというものです。
申立人は、相手方の子を妊娠後、婚姻したのですが、その後、相手方に連絡しても、返事が来なかったりするなど、連絡が取れない時期が続いていました。
出産前に連絡が取れるも、相手方は定職に就かないなど、婚姻関係維持に向けた活動をしなかったものでした。
結局、2人は同居するにも至らなかったという経緯です。
婚姻当初から、婚姻関係を形成する意思が欠けていたといえる内容です。
籍は入れたものの、同居せずに離婚という相談も、たまにあります。
幼児の親権者
長男は、申立人と共に申立人の実家で同居。
相手方は、長男と同居したこともなく、親権者としては申立人が適切であるとしか言えない状況です。
いまでも、幼児の場合、親権者は母親と指定されやすい傾向にありますが、本件のような状況では相手方が争うこともなく、親権者については問題ない事案といえます。
離婚の話を進める際に、必要以上に親権を失うことを恐れる女性も多いのですが、このような内容であれば、ほぼ心配ないといえるでしょう。
離婚交渉
申立人は、上記経緯から、相手方とは婚姻関係を形成することができないと考え、相手方に対して離婚の申し出をしました。
すると、相手方には弁護士がつきました。
当初、申立人は、経緯等から慰謝料の請求をしていましたが、相手方が仕事もしておらず、財産もないことから、これを断念。
早期に離婚を進めたいと考え、公正証書を作成したうえで協議離婚による解決を試みましたが、作成費用等をめぐり、交渉が進まず、相手方の弁護士の回答も遅く、時間だけが過ぎてしまったため、強制的に期日が決められる調停の方がまだ早く進むと考え、離婚調停申立に至ったのでした。
面会交流の条項
このような経緯でしたが、相手方は、子との面会交流を求めてきました。
あくまで交渉材料という印象を受けましたが、申立人は、相手と会ったり連絡を取ること自体にストレスを強く感じるようになっていました。
面会交流の際に、直接会いたくない場合には、子の受け渡しを第三者機関を通じて行うことも選択肢となります。
FPICのような機関を使うことが考えられます。
ただ、これを利用したとしても面会交流に関する調整は必要となり、それ自体が精神的苦痛になってしまうこともあります。また、子が小さい段階では、立会なしで子を任せるのにも勇気がいります。
そのような事情を伝え、面会交流については、調停時点では具体的な記載をせず、将来的に協議するとの条項にとどめています。
調停である以上、会わないという面会拒否の条項で調停がまとまることはほぼなく、曖昧な規定にとどめるのが限界といえるでしょう。
養育費と潜在的稼働力
相手方は、交際当時は仕事についていたものの、その後、退職。
離婚交渉開始時には、定職についていませんでした。
養育費を決める際には、それぞれの基礎収入を認定します。しかし、相手方は無収入。申立人も出産直後で無収入という状況で交渉開始となりました。
このような場合、以前の仕事で得られた収入程度は稼げるはずだとして、潜在的稼働力を認め、仮の収入で養育費を決める方法があります。
本件でも、相手方代理人からは、双方が潜在的稼働力による収入を基礎収入に認定すべきだとの主張がありました。
相手方が働いてはいなかったものの、それなりの年齢でしたので、収入ゼロを主張するのは難しいと判断したものでしょう。
申立人も、早期解決を望み、潜在的稼働力による養育費3万円での合意となりました。
財産分与
財産分与は、婚姻期間中に築き上げた財産を分けるものです。
築き上げた財産がなければ、請求はできません。
特に、今回の事例では、同居期間がないため、本来、財産分与請求はできません。
ただ、役所からの子供に関する入金があり、その精算のため、財産分与請求を加えた趣旨でした。
これについては、調停外で支払いがされ解決となったため、調停成立時には、解決済みであり、調停条項からは外れています。
離婚調停成立
交渉である程度の話を進めていたため、第2回期日で調停成立となりました。
調停調書の謄写申請をおこない、これを添付して離婚届を役所に提出し、戸籍にも反映されています。
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