離婚・不貞のケース紹介
不貞慰謝料裁判事例紹介
不貞慰謝料の裁判を起こされる
神奈川県綾瀬市にお住まいの30代男性からの相談でした。
不貞慰謝料として300万円の損害賠償請求訴訟を提起されたとして相談がありました。
訴状によれば、相談者が配偶者がある女性と不貞関係を持ったということで、配偶者である夫が原告となり、相談者のみを被告とした請求でした。
原告の主張は、妻が相談者の子を妊娠しているとまでの主張でした。
事案の概要
相談者は不貞行為を否定。妊娠自体も争い、仮に妊娠していたとしても、懐胎可能期間に相談者との間で肉体関係がなく、相談者の子供ではないと反論しています。
相談者は、スナックで女性と知り合い、一時的に交際を開始。
しかし、交際開始時、独身であると聞いていました。
また、婚姻関係にあることを疑うような事情もありませんでした。
その後、女性が「旦那が帰ってくる」と漏らしたことがあり、婚姻を認識。このことをきっかけに、別れたというものです。
よって、交際していたことはあるものの、交際期間中、原告の権利利益を侵害していることにつき、故意・過失がなく、不法行為は成立しないとの主張です。
ただ、別れた後も、メッセージアプリでのやりとりがありました。
夫との関係に関する相談や、DVから逃げてきたとして助けを求めてくるようなこともありました。
不貞の証拠写真
原告は、別居後の女性宅へ男性が訪問している写真や子供の行事に男性が参加している写真を証拠提出してきました。しかし、相談者はそのような事実を否定。写真も不鮮明で人物特定ができないものでした。
また、別居前についての交際はあったことから、写真の撮影時期についても問題視されました。
このような経緯の場合、争点となりうるのは、
交際期間における配偶者の存在に対する故意・過失(既婚者との認識や、知らなかったことについての過失)
既婚者との認識後に不貞行為があったか
交際時に婚姻関係が破綻していたか
等です。
交際時に婚姻関係が破綻?
男女間での肉体関係がある場合、その時点で、婚姻関係が破綻していたのであれば、不貞行為として違法とは評価されません。
しかし、このような認定はかなりハードルが高いです。
離婚が成立していないとなると、実質的に破綻していたことを認めてもらう必要があります。
裁判所がそのような認定を積極的にするかというと、通常はしにくいでしょう。
破綻を示す事情として、離婚届の作成、別居、離婚調停の係属などがあります。
家庭内別居程度では認定されにくいです。
今回も夫のDVなどの事情がありますが、このような主張は通りにくいといえます。
過失の不貞行為
不貞慰謝料の発生原因としては、民法上の不法行為となります。
婚姻関係を認識して男女関係となったのであれば、故意による不法行為と評価されます。
これに対し、認識していなかったものの、過失があるとして慰謝料の支払い義務が認められることもあります。
理論上は、過失でも不法行為は成立します。
裁判例で、明確に過失による不貞行為とする例は多くはないのですが、裁判手続きにおける心証として、少なくとも過失があるといい、和解勧告してくる裁判官も多いです。
不貞慰謝料の分割払い
今回のケースでも、裁判官からのそのような心証開示がされ、和解による解決が試みられました。
本人尋問、証人尋問という話で進めるよりは、和解のほうが望ましいという意向となりました。
不貞慰謝料の場合、判決であれば一括支払いを求められますが、和解の場合、財産がなければ分割払いという解決もありえます。
今回のケースでも、相談者に資力がないため、長期間の分割払いの和解を成立させるという解決となりました。
請求額300万円に対して、総額50万円、これを分割払いとする裁判上の和解が成立し、解決となりました。
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