離婚・不貞のケース紹介
不貞慰謝料交渉事例紹介
不貞慰謝料の示談交渉トラブル
神奈川県秦野市にお住まいの30代女性からの相談でした。
不貞慰謝料の請求を受けたところ、その請求が違法ではないかとの相談でした。
不貞慰謝料の相談絡みで一定数、このような相談があります。
不貞関係の示談トラブル
相談者は、男性と交際。
その男性が、別の女性と婚姻したという流れでした。
その女性は、仲間の女性とともに、相談者を同人の職場駐車場で待ちぶせた上、威迫。
携帯電話を預けさせられ、車両にも乗り込まれてしまい、指示されたとおりファミリーレストランへ。
この女性は、相談者と男性との関係について、不貞をしたなどと主張し、相談者の携帯電話から裸体の写真を自己の携帯電話に転送させ、反論すれば写真をばらまくことを暗に示しました。
その他にも脅迫したりしながら示談書を作成。示談書作成時には、女性が準備した印鑑を押印することを強要され押印。
その後、自宅に押しかけられ、現金を支払われたという相談でした。
本来、交際関係は解消されており、婚姻後に性的関係をもったことはないから、不貞行為は存在していません。
また、交際関係があった時期にも、女性の存在を知らなかったので、損害賠償義務がないものと見込まれました。
本来であれば、義務がないので、示談する必要性もないのですが、脅されて示談書を作成してしまい、そのとおりに払うよう求められているという相談です。
行き過ぎた示談
不貞関係では、その性質上、感情的になることが男女とも多く、不貞相手と思われる人に対して、行き過ぎた請求がされることが少なくありません。
その態様として、脅迫や名誉毀損のような犯罪行為と認められるような程度のものもよくあります。刑事事件の実態として、脅迫罪や名誉毀損罪で警察は動きにくいものの、明らかな犯罪行為が続けば、警察が介入してもおかしくありません。
そこまで行き過ぎた請求がされてしまうこともないです。
また、請求前の相談で、「これから不貞相手と会うのだけど、何をしたら脅迫になるのか」という質問を受けることも少なくありません。
言動としては脅迫や名誉毀損に気をつけるほか、監禁の主張がされる可能性があるので、話し合いの場はオープンな場所を選んだ方が良いと言われます。今回のようにファミレスなどを選択しておくほうが、監禁は主張しにくくなると言われます。
言動のほかに、示談内容自体が問題になるケースも少なくありません。相場からかけ離れた示談金を支払うという約束だったり、また、公序良俗に違反するような内容の誓約条項、違約金条項などがあると、それだけで示談の効力が問題になります。
示談書が作成されたとして、このように違法性が高い場合には、合意を無効だと主張したり、強迫により取消を主張することもあります。
また、態様の違法性が強ければ、一部支払った示談金を、脅迫により奪われたものだとして、不法行為による損害賠償請求をすることも考えられます。
態様自体による不法行為の慰謝料
態様がひどい場合には、払ったお金を損害賠償請求として求める以外に、慰謝料の請求ができるケースもあります。
示談書に署名を求める段階で、「殺すぞ」等と威迫されたり、家に押しかけられたり、自身の携帯電話を操作され裸体の写真等を転送された点などという事情は、慰謝料請求の根拠になるでしょう。
脅迫以外にプライバシーの侵害とも言えます。
プライバシーについては、個人の私生活上の事実又は情報で、周知のものではなく、一般人を基準として、他人に知られることで私生活上の平穏を害するような情報は、人格権に基づき、法的に保護されるというものです。
裸体を撮影した写真などは、プライバシーの中でも特に公開を望まないものであり、一般に公開されていなくても、特定少数の第三者が所持しているだけで私生活の平穏が害されるものとして保護性が高いものです。
示談交渉などの際に、このようなプライバシー情報の侵害だけでなく、免許証の写しなどを取られていて、今後が心配であるという相談も多いです。
払ったお金や今後の問題よりも、これらの流出を含めた将来の不安を解消したいという漠然とした相談もあります。
データ等の返還請求
法的には、これらの返還請求ができるとも考えられます。
プライバシーに関するデータは、人格権に基づく妨害排除請求権及び妨害予防請求権に基づき、引き渡しを求めることができる余地もあります。
また、免許証をコピーについて、同様の主張をすることが考えられるほか、コピー代を負担しているような場合には、所有権に基づく返還請求という方法も考えられるでしょう。
これらの主張については、裁判所の判決で認められることを狙っているというよりは、和解条項に盛り込むことを狙って記載することも多いです。
債務不存在確認の訴え
不当な示談を成立させられてしまったときなどに起こす裁判で、債務不存在確認の訴えがあります。
示談が成立していなくても、不当請求を受けている場合に使える方法です。
通常、裁判は、権利を主張する側、請求する側が起こしますが、不存在確認の訴えは、請求されている側が起こします。
支払を拒絶するだけで、相手が裁判を起こしてこない、請求が止まらないという場合に、本来は債務がないのだということを裁判所に確認してもらう裁判です。
過去には、交通事故の被害者が不当な請求をしてくるようなケースで使われていた裁判です。
今回のように、一部の支払をしているようなケースでは債務不存在確認の訴えを起こす方法と、支払金を損害賠償請求として訴えを起こす方法があります。
いずれにしても、訴訟提起後、相手方から請求が正当なのだという反訴がされることが多いでしょう。
そちらとあわせて審理してもらい、データの返還請求なども盛り込むなら、2つの事件を和解で解決するという方法が望ましいです。
今回のケースでも、このような流れで進み、データに関しても、金銭面に関しても相談者が納得した条項を盛込む裁判上の和解が成立しました。
不貞慰謝料の交渉等のご依頼は以下のボタンよりお申し込みできます。